学校に勤めていた頃、音楽発表会の時期になると、いつも複雑な気持ちになっていました。
もちろん、発表の場そのものが悪いわけではありません。
がんばって取り組んだことを家族に見てもらえるというのは、子どもたちにとって嬉しいことでもあります。
けれど——
その「発表会」がいつしか、“完成度を求めるためのもの”になってしまっていたら?
そしてその目的が、大人の都合で設けられた場であったとしたら?
そこに、子どもたちの学びや気持ちは、ちゃんとあるのだろうか。
そんな問いが、胸の奥から消えませんでした。
コロナ禍で、さらに強く感じたこと
とくにコロナ禍のとき。
「学校に来られない保護者のために、発表の場を設けるように」と指示があり、
音楽発表会を開催することが決まりました。
でもそのとき、私は強く思ってしまったのです。
子どもたちは、見せ物じゃない。
感染対策で歌や器楽が思うようにできないなか、
限られた時間と手段で、何とか形にして見せなければならない。
本来なら、もっと感じて、考えて、深めていく時間があるはずなのに。
子どもたちは、少しずつ、自分の中で音楽を育てていこうとしていました。
その芽を無理に引っ張って、発表用に整えていくことに、
どうしても抵抗がありました。
「発表」は、どんなものであってほしいか
私がめざしたいのは、“誰かに見せるため”ではなく、“その子の音楽が育った先に自然と生まれる表現”です。
• うまくできたかどうかより、「あの子らしい音だったね」と感じてもらえる場
• 大人の期待に応えるのではなく、「今のわたし」を出せたことに意味があるような時間
• たとえ途中でも、そこに向かうプロセスを丸ごと大切にできる空気
そんな発表会が、できたらいいなと思っています。
とらねこ音楽教室で大切にしたいこと
とらねこ音楽教室では、音楽を通して「うまくなること」以上に、
「感じたことを、感じたままに表現すること」を大切にしています。
その一音に、うまく言えない気持ちや、心の奥にあるあたたかさがにじむような、
そんな音との出会いを、子どもたちと一緒に紡いでいけたら——。
教育現場で感じた小さな違和感も、
いまこの教室だからこそできる形で、少しずつ言葉にして、伝えていけたらと思います。
とらねこ音楽教室からのお知らせ
当教室では、2026年春の開講に向けて準備中です。
現在、体験レッスンの募集は行っておりませんが、
募集開始の際は、ホームページおよびLINE公式アカウントにてお知らせいたします。
音楽に寄り添うやさしい時間を、親子で安心して楽しんでいただけるよう、
あたたかい教室づくりを進めてまいります。
どうぞ、ゆっくり見守っていただけましたら幸いです。
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